手を使わずに履ける靴は身体に悪い?便利さと足腰の衰えを考える

こんにちは。名古屋市緑区の幹整体院、倉幹男です。
先日、私が尊敬している先生のLINEで、手を使わずに履ける靴についての記事を目にしました。
最近、立ったまま足を入れるだけで履ける「スリップイン構造」の靴が人気ですよね。
かがむ必要もなく、靴紐を結ぶ必要もない。確かに便利な靴だと思います。

しかし先生の記事には、その便利さによって、私たちが本来行っていた身体の動きまで失われているのではないか、という問題提起がありました。

この記事を読んで、私は大いに共感しました。
私も整体師として、以前から同じようなことを考えていたからです。
便利な生活が悪いのではありません。便利になったことで、自分の身体を使う機会が減っていることに、私たちはもっと目を向ける必要があると思うのです。
靴を履くという動作も、立派な身体活動だった
皆さんは、毎朝どのように靴を履いていますか?
玄関でしゃがんで靴を履く。椅子に座って足元に手を伸ばす。靴紐を結ぶために身体を前へ倒す。
普段は何気なく行っている動作ですが、身体の働きという視点で考えると、実はいろいろな関節を動かしています。
- 股関節や膝を曲げる
- 足首を動かす
- 身体を前に倒す
- 姿勢を保ちながら手を伸ばす
- 靴を履いたあとに立ち上がる
特別な運動をしているつもりはなくても、こうした動作の中で身体を使っているのです。
もちろん、靴を履く動作だけで十分な筋力がつくわけではありません。
しかし、毎日の暮らしには、このような小さな身体活動がたくさんあります。
私は、こうした動作を必要以上に減らしてしまうことが、少しもったいないと感じています。
便利になった生活で、私たちは何をしなくなったのか?
靴だけではありません。
昔と今の生活を比べてみると、身体を使う機会が大きく変わっています。
和式トイレから洋式トイレへ
昔は和式トイレで深くしゃがむ動作が日常にありました。
深くしゃがむためには、股関節、膝関節、足首などを大きく動かす必要があります。
一方、洋式トイレでは椅子に座るような動作で済みます。
洋式トイレは高齢者や膝の悪い方にも使いやすく、非常に優れた設備です。
ただ、深くしゃがむという動作を日常生活で行わなくなった人もいるでしょう。
和式トイレが減ったことだけで足腰が弱くなったとは言えませんが、生活から一つの動作が減ったことは確かです。
床の生活から椅子の生活へ
畳に座ったり、床から立ち上がったりする動作も、以前より少なくなった家庭があると思います。
床から立ち上がるには、股関節や膝を動かし、身体のバランスを調整する必要があります。
椅子やベッドは生活を快適にしてくれますが、床から立ち上がる動作とは使う関節の角度や身体への負荷が異なります。
私は、日本人が昔から行ってきた生活動作には、今の私たちが学べることもあると考えています。
階段からエスカレーターへ
駅や商業施設でも、階段の隣にエスカレーターがあると、ついそちらを選びたくなりますよね。
私も便利なものを使うこと自体は否定しません。
ただ、健康で階段を使える身体があるのに、いつも楽な方だけを選んでいないでしょうか。
こうした小さな選択の積み重ねが、一日の身体活動量に関係してきます。
身体は、使わなければ働きが低下していく
これは単なる精神論ではありません。
身体活動が健康の維持に重要であることは、厚生労働省やWHO(世界保健機関)のガイドラインでも示されています。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、日常生活で身体を動かすことや、筋力トレーニングなどが推奨されています。
WHOも、座っている時間を身体活動に置き換えることには健康上のメリットがあるとしています。
つまり、健康を守るための運動は、スポーツジムだけで行うものではないのです。
歩く、立つ、しゃがむ、掃除をする、買い物に出かける。
こうした日常の動作も、身体活動の一部です。
ただし、スリップインの靴を履くこと自体が筋力低下を引き起こすと証明されているわけではありません。
私が問題にしたいのは、特定の靴ではなく、生活全体で身体を使う機会が少なくなっていくことです。
私が大切にしているのは「できる身体」を残すこと
私は整体師として、単に痛みがなくなればよいとは考えていません。
私が目指しているのは、人生最後の日まで、自分の足でトイレに行ける體づくりです。
自分で立つ。
自分で歩く。
自分で服を着る。
自分で靴を履く。
そして、自分でトイレに行く。
若い頃には当たり前だったことが、年齢を重ねても当たり前にできるとは限りません。
だからこそ私は、今できていることを大切にしたいのです。
「できないから道具を使う」のと、「できるけれど面倒だから、まったくやらなくなる」のとでは、身体との向き合い方が違うと思います。
もちろん、腰痛や膝痛がある方、身体に障害がある方にとって、便利な道具は生活の自由を広げてくれる大切な存在です。
無理にしゃがんだり、痛みを我慢して動いたりする必要はありません。
大事なのは、その人ができる範囲で、身体を使う機会を残していくことだと考えています。
50代、60代から意識したい5つの生活習慣
では、日常生活で何を意識すればよいのでしょうか。
私がおすすめしたいのは、特別な運動を増やす前に、普段の生活を見直してみることです。
① 靴を履くときは、足元に手を伸ばしてみる
無理なくできる方は、椅子に座って靴を履いたり、靴紐を調整したりしてみてください。
身体を前に倒す動作や、股関節を曲げる機会になります。
靴は足に合ったものを選び、かかとが安定する状態で履くことも大切です。
② 椅子から立つときに、身体の動きを意識する
立ち上がるとき、足をどこに置いていますか?
身体をどのように前へ移動させていますか?
毎日の立ち座りも、下半身を使う機会です。
ふらつく方は、安定した椅子や手すりを利用してください。
③ 階段を使える場面では使ってみる
膝や股関節に問題がなく、安全に利用できるなら、階段を選ぶ機会をつくってみましょう。
最初から何階も上る必要はありません。
自分の体力に合わせて少しずつ取り入れることが大切です。
④ 家事を身体活動として考える
掃除、洗濯、庭仕事、家庭菜園なども身体を動かす機会になります。
わざわざ運動する時間を確保できない方でも、日常生活の中で活動量を増やすことはできます。
⑤ しゃがむ・立つ・歩く能力を定期的に確認する
以前よりしゃがみにくくなっていないか。
椅子から立ち上がるのが大変になっていないか。
歩く距離が短くなっていないか。
こうした変化に気づくことも大切です。
ただし、深くしゃがめることが健康の絶対条件ではありません。膝や股関節の状態によって適切な動きは異なります。
便利な道具を使いながら、身体も使えばいい
私は、昔の生活にすべて戻るべきだとは思っていません。
洗濯機もエレベーターも洋式トイレも、私たちの生活を豊かにしてくれています。
手を使わずに履ける靴も、必要としている人には大変ありがたいものです。
しかし、便利になった分だけ身体を動かす機会が減ったのであれば、別のところで身体を使えばいい。
私はそう考えています。
大切なのは、便利さを否定することではなく、便利さに任せきりにならないこと。
身体を使う機会を、自分で選んで残していくことです。
最後に|未来の自分のために、今日も身体を使おう
今回、尊敬する先生の記事を読んで、改めて考えさせられました。
私たちは、生活を便利にすることには一生懸命ですが、自分の身体が何をしなくなったのかについては、あまり考えていないのかもしれません。
10年後、20年後も自分の足で歩いていたい。
行きたい場所へ自分で行きたい。
そして、最期まで自分のことを自分でできる身体でありたい。
そのためには、今の生活の中で身体を使い続けることが大切だと思います。
今日できることを、明日もできるように。
そして、10年後もできるように。
皆さんも今日、靴を履くとき、椅子から立ち上がるとき、階段を目の前にしたとき、少しだけ自分の身体について考えてみてください。
便利な時代だからこそ、私は自分の身体を使うことを大切にしたいと思います。
幹整体院
倉 幹男















