【先天性股関節脱臼】女児のリューメンビューゲル装具〜入院持続牽引の日記 前編

幹整体院の高坂です。

昨年生まれた長女が生まれつき股関節の障害がありました。
「先天性股関節脱臼」というものです。
※リンク先は日本整形外科学会および日本小児整形外科学会が発行している資料です
このブログ記事でお伝えする内容
このブログでは娘の分娩から股関節脱臼の判明、どういう治療をしてどんな生活をしていったのか。
医療人の端くれとして多少なりとも知識を持った父親の目線から、
- 学生時代に教わった股関節脱臼治療のイメージと実際の治療の現実
- 日常生活への影響
- 発達に対する不安
- 妻の負担と心情など
私の心情を交えて書いていきたいと思います。
少しでも興味がある方はどうかお付き合いください。
もし、出産時、赤ちゃんが脱臼していたら?
長女誕生すぐ「膝がひっくり返ってる?!」~生後1週間で小児整形受診
〜2024年7月〜出産のときまで話は戻ります。
長男に続く第二子として長女が誕生しました。
長男の出産のときは新型コロナウィルスの影響でできなかった分娩立ち合いを今回はすることができました。
妊娠~出産は男子には想像できないくらい大変なんだと改めて思います。
助産師さんが「近くで見てみてください。写真もどうぞ(^^♪と言って下さったので、ちかくで写真を撮らせてもらいます
そこで気が付きます。

「…あれ(なんか膝の角度が変)???」
どうみても逆方向に膝がまがってます。
「後で先生にしっかり診てもらいますね」と助産師さんは落ち着いていましたが
わたし的にはけっこう不安でした。
痛みは?歩けるようになるのかな?不意にこの子の将来の不安までよぎります。
新生児の関節は柔らかく、形成途中であるが故、発達によってある程度解消するという知識はあるにしろ不安は尽きません。
産科の先生からの説明を受けます。
後ほど産科の先生から説明がありました。
お腹の中にいるときに曲がって入ってしまっていたそうです。
そこまで珍しいことではないらしく深刻な感じではなかったのですが、小児整形の先生でないと詳しく見られないとのことで、産科を退院後すぐに小児整形を受診することになりました。
退院後、すぐに整形外科を受診
整形外科受診〜「膝は大丈夫そうだけど股関節が外れてるね」
紹介された小児整形外科のクリニックを受診しました。
院長先生は壮年の男性の先生。一瞬怖い先生なのかな、、という印象でした。
娘をパッ見るとすぐ「、、、向きぐせもあるね」と呟いて頭を持って左右に動かしました。
首の可動域を確認してくれたのでしょうか?その後、手際よく全身をチェックしてくれました。
そしておもむろにエコーの端子を手に取ると股関節に押し当てました。
「あー、脱臼してるね」
予想外の言葉が先生の口から飛び出しました。
(脱臼?膝じゃなくて股関節?・・・なんで?!)

※↑娘の画像ではありませんが参考に 娘のエコー画像は一番左の完全な脱臼に近い画像でした
その後、レントゲン撮影もして「股関節脱臼」の診断がでることになりました。
乳児の股関節脱臼
乳児の股関節脱臼は1000人に1〜3人発生すると言われており、それほど珍しくない病態です。
はっきりした原因はわかっていませんが圧倒的に女児に多く、遺伝要因、骨盤位分娩(逆子のことです)などのリスク要因があると言われます。
多くの場合は臼蓋形成不全という関節が浅い状態を伴います。
乳児の脱臼を起こしやすい肢位というのもあり、リスク肢位を継続的に取らせていることは股関節に良くない影響を与えると言います。

※日本小児整形外科学会のサイトより
両脚がM字になるようなコアラ抱っこの肢位が良いとされています。
我が子の場合は分娩直後から脱臼の兆候が見られたので子宮内で発育する段階で脱臼していたものと考えられます。
我が子の場合は分娩直後から脱臼の兆候が見られたので子宮内で発育する段階で脱臼していたものと考えられます。
乳幼児の股関節脱臼は知識としては知っていましたが、まさかこの日ここでその言葉を聞くとは思っていませんでした。
診断を聞いた私の頭の中
- まさか??自分の娘がなってしまうとは
- 先股脱と行っても先天性の子は少なくて後天的な要素が多いと言われているんではなかったっけ?
- 確かリューメンビューゲルとかいう装具をつけて治療するはず、、、
- そういえば装具治療て期間は?1日なん時間?その間の生活はどんなん?お風呂やオムツ替えは?
症状名と治療方法を授業で習っていましたが、細かいことは何もわからないことに気がつきました。
教科書で知るのと実際に対面するのとでは、まるで違います。
何しろ感情とやるべきことなどの整理もつかず、ぐちゃぐちゃになりそうです。
頭の中は整理付かないけれども、事態は進んでゆく
先天性の乳児の股関節脱臼と判明しました。
この段階でも、頭では、事実とこれからの疑問と不安でいっぱいです。
ここで、乳児の股関節脱臼は、大きな病院でないと診られないとのことで。大学病院に紹介ということになりました。
あまりのドタバタで抜けていましたが、当初の膝の反り返りに関しては、この時ほとんど問題なくなっていたようです。
大学病院を受診して、治療の目途がみえてくる
大学病院受診
大学病院に問い合わせ、先生の都合の良い一番近い日にちで予約をしました。
受診当日は私も有給をとって同席しました。
担当してくれたのは先日の小児整形の先生よりも若い女性の先生でした。
大学病院でもレントゲン撮影とエコー検査を実施。
やはり股関節脱臼ですとの診断でした。
固定具を装着する治療方法にて対応されるとのこと。
治療はリューメンビューゲル装具装着を予定しているとのこと。
ただし新生児の体に合う装具はないため、ある程度成長してから装具治療を始めるとのことでした。

リューメンビューゲルはこんな感じに脚をM字に止めておく装具です
先生いわく、「装具治療開始する前にうまいことハマってくれるといいんだけどね~」
乳幼児の脱臼自体は、それほど深刻なものではないようで、成長とともにある程度のものに関しては改善するもののようです。
大人の関節なら、しっかり関節が出来上がっているので脱臼をはめるという手段を取れますが、こども、さらには、乳幼児となると、関節そのものが形成されている発達途中なので、そうはいきません。
そこで、固定具で正しい関節の位置、はまり具合を維持し、正しい発達をサポートするという考えになるのだと考えられます。
医師からの、今後の生活の注意事項
生活上の注意事項をかるく教えてくれました。
それと乳児の股関節脱臼に関する資料をいただきました。
注意することは大雑把に以下のような感じ
- なるべく両脚をM字に開いた状態にする
- 抱っこの時に両脚をそろえた状態にしない
- バウンサーのようにせまい間にはまり込む寝かせ方をしない
- おむつ交換の時に右脚を引っ張って持ち上げない
など。
特に足をそろえるような、狭いところだと、股関節が外れやすい体勢になるため要注意ということでしょう。
こちらの資料がよりくわしいかと思います。参考にしてください。
※日本小児整形外科学会のサイトより
次回は、固定具装着からのお話になります。