肩があがらない「キーガン型麻痺」とは 60代男性事例

60代男性。キーガン型麻痺というめずらしい症例で来院され、最終的に脊柱管狭窄症の手術をして改善がみられた例を紹介いたします。
慢性的な腰痛と背中の痛みをおしつつ、建設業の体力仕事
主訴(来院時の症状)
60代の男性。来院された時点では左腕がななめ約45度くらいまでしか挙がらない状態。
痛みやしびれの症状はなく、腕を上げるための筋肉が働いていない状態でした。
来院に至るまでの経緯
一か月ほど前から左腕が徐々に挙がりにくくなりだんだん症状が悪化しました。
もともと当院に通っていたことがあったため、病院受診される前に相談におみえになりました。
整体分析の結果と所見
初回整体分析の結果
- 左肩の挙上可動域 自動運動 45度 他動運動 180度
- 運動痛、圧痛、安静時痛、夜間痛などの痛みなし
- 知覚異常、腱反射異常といった神経症状はなし
触診や運動評価をしたところ、痛みやしびれがなく他動運動では可動域に問題ないことがわかりました。
肩の腱組織の経年劣化からくる腱板断裂を疑いました。
症状の鑑別が必要と判断して、整形外科、病院のMRI検査を受けることを強くお勧めしました。
病院受診と経過
2ヶ月後、再び来院された際に病院受診とその後の経過を教えてくださいました。
大学病院でのMRI検査と診断の結果、頚部脊柱管狭窄症による運動麻痺と診断されていました。
2ヶ月後、再び来院された際に病院受診とその後の経過を教えてくださいました。
大学病院でのMRI検査と診断の結果、頚部脊柱管狭窄症による運動麻痺と診断されていました。
キーガン麻痺という病名の付く、珍しい神経系の麻痺のようで、発覚までの時間が遅れると後遺症があるとのこと。
2日前にオペをしてすぐに退院。その翌日に当院へお越しいただけました。
術後は左肩の挙上可動域が大幅に改善し全く動いていなかった筋肉が力を取り戻していました。
しかし手術前にはなかった手のしびれが出現してしまったそうです。
現在の状況
その後、肩関節の機能改善として当院へ通院
その後、術後の機能回復を目的として当院でのリハビリをされました。
肩関節周囲の筋肉の再教育や、可動域低下によって固まった肩甲骨の運動を促す施術をしています。
3ヶ月ほど経つと痺れの症状もほとんどなくなり、腕の挙上可動域回復も順調に進んでいます

手術後の左肩の挙上可動域です。
180度真上には上がりませんが元々45度くらいしか上げられなかった肩がここまで上がっています。
また、肩とは別でお膝の症状が出たためそちらをメインに受診されています。
こちらも来年の2月に手術を予定しているとのこと。セカンドオピニオンをとることをおすすめし膝の手術の症例を多く持っている重工大須病院を紹介いたしました。
以下ご本人のメッセージ
最初は肩の問題かと思いましたが、整体の先生に詳しく診てもらって、初期段階でMRI検査を勧めてもらったおかげで手術に踏み切ることができました。なによりも、本来わからず悪化してゆく症状を初期の段階で病院に行けたことは、病院の先生にもすごいことといわれました。
手術後も痺れが出て、心配ですが、リハビリのおかげで腕が動くようになり、本当に感謝しています。
今後もメンテナンスで通いながら、元気に生活を続けたいと思います。
担当先生からのコメント
この症例は、キーガン型麻痺という珍しい神経症状の例でした。初期段階では肩関節特有の疾患が疑われましたが、画像検査によって適切な診断が行われたことで手術が行われ改善に至りました。痛みやしびれがない症例でも画像検査の実施を強く推奨すべき場合があることを示しています。
首の画像検査をし、的確な診断と手術をしてくださった病院の先生の判断に感服します。また、患者さんが術後もリハビリを続け、順調に回復されているのは診断に非常に嬉しいことです。今後も必要に応じて他の専門家様とも連携し患者さんの健康を支えていきたいと思います。
当院では施術だけでなく生活習慣やお仕事状況など総合的に患者様を診させていただいています。
きっとお役に立てると思います。